■□■大切な人と共に豊かな人生を歩みたいと思いませんか?■□■
患者さんやそのご家族に「がんは超慢性病ですから」と話しますと、まるで長い冬が一瞬にして終わりを告げ、春がアスファルトから芽を出したかのように、みなさんの固い表情からは一片の驚きとともに心の温度と力強さがにじみ出てきます。
がんの9割以上は、一般の慢性病と比べてもその進行はずっとゆるやかで静かですし、過激な治療をしない場合には急死することも滅多になく苦痛も少ないのです。
日常生活はもちろん仕事もできますし、ずっと平穏に過ごせます。
がんについて本当に理解している人は「死因となる病気を選ぶことができるのなら、私は間違いなくがんを選ぶ」と断言します。過度の治療さえしなければ「死ぬ7日前までは何年もかけてやりたいだけ仕事もできる。そして住みなれた自分の家でおだやかに家族と別れを告げてから、トコッと人生を終えたい」という思いなのでしょう。
がんの苦痛を抑えるのは容易ですし、がんによってなくなる場合もけっして苦悶の死ではなくゆったりとした穏やかな死であるからです。自分に与えられた時間を自分で決めて、大切な人とともに前向きに豊かに生きていく、こんな生き方を選べるきっかけにもなります。
ではなぜ数ある慢性病の中でも、唯一がんだけに悲惨で恐ろしいというイメージが付きまとうのでしょうか。ぜひみなさんも一緒に考えていただきたいと思います。
私はこの間違ったイメージを払拭し、がんは決して急性病ではなく、そして恐ろしい病気でもないということを知っていただきたいと痛切に思います。
この勘違いされたがんのイメージを改め正せば、超慢性病であるがんに対して、一刻の猶予もない急性病に対するような激しい治療は理屈に合わないことがわかります。
ここからすべての悪循環は是正されるでしょう。がんを克服する「人体の勝利」への道には、これらのとりはらうべき「免疫力低下の要因」がいくつかあります。
がんとの闘いや共存、そして不安がありながらも豊かな人生への「希望共同体」として、あなたとともに歩きたいと願っている人は、あなたのすぐそばにいるはずです。
その大切な人と共に豊かな人生を歩みたいと思いませんか?
新井吉秀氏